松山にきてこまったことワースト10(2010-2015年度版)


はじめに

この記事は「愛媛・松山についての徒然 Advent Calendar 2015 - Adventar」の20日目の記事です。前日の記事は「外から来た人には愛媛のここがわかりにくい」でした。次の日の記事の担当は nekomimiTaichoさんです。

前回は松山にきてよかったことを書いたので、今回は逆にこまったことを書くことにしました。松山にきてよかったことベスト10は別記事にありますのでそちらを参照ください。(長くてすみません)

松山にきてよかったことベスト10(2010-2015年度版)

「愛媛・松山についての徒然 Advent Calendar 2015」にエントリーした勢いで、ざっと松山に移住してきてよかったなぁと感じることを10個書いてみました。

giantech.jp

(1) 誰も自分のことを知らない

これは当然なのですが、実家でもない場所に来たのですから、自分のことを知る人は誰もいませんでした。そのため、初めての土地に行くと、誰も自分のことを知らない状態から人間関係を作っていく必要があります。

私の場合は、移住当初2010年は、引越しの後片付け、次男誕生による子育て関係のバタバタで、知ってる人がいなくて寂しいなとと思う余裕もなかった気はします。

その間、就職活動で数社面接に行きましたが、それ以外で人間関係を作ろうと思ったのが、Agile459というコミュニティを立ち上げた理由のひとつでした。

その後、松山でのコワーキングスペース設立が続いた後は、急速に松山での人の繋がりが広がりました。私にとって、松山第一次コワーキングスペースブームの時にできたダイヤモンドクロス、今は無きシトラスには本当に感謝でいっぱいです。

今では、もうひとつマツヤマンスペースもあります。

マツヤマンスペース

松山市駅徒歩30秒のコワーキングスペース

ehime.in

もし、松山に引っ越したいと思う・引っ越してきてすぐの方は、まず上記のコワーキングスペースに顔を出してみるのをおすすめします。

また、ネットで情報発信している人・コミュニティが移住候補先にいるのであれば、その人とコンタクトを取るとよいと思います。特にソフトウェアエンジニアの方で松山に住みたい人は私に連絡してください

移住者に情報を提供する松山移住計画というサイトもありますので、不動産を含めて情報を得たい方はコンタクトをとるとよいと思います。

(2) 仕事がない

これは「自分のことを知らない」という点とも近いのですが、特に東京のような顧客となる会社も人も多い環境の中で、特定の組織の中でやっていた役割・仕事が、地方でそのままあるかというとそんなことはありません。

私の場合、最初は松山の企業に就職しようと思い、いくつか企業と面接もしましたが、なかなかしっくりくるところはありませんでした。そんな中で、前職のお客さんの案件を手伝うために出張ベースで前職と同じ仕事(=アジャイル・プロジェクトファシリテーションのコーチ)を始めて、そのまま独立したという経緯があります。

それぞれの地域には特有の文脈があります。東京でやっていた仕事を、そのまま続けようとしても、そこの文脈に合わない可能性があります。

例えば、東京で最先端の技術を使って開発していた人が、地方でその技術を活かした職につけるか・仕事があるかというとそれだけでは難しい所です。東京で営業コンサルをやっていた人が、地方にきてみると、繋がりの中で仕事が回っていくネットワークではそもそも営業をコンサルが必要ないということがあるかもしれません。

個人的に思うのは、東京で、あるいは特定の企業内で細かく役割分担されていたような職業・仕事を地方に求めてもなかなかない可能性が高いです。実はアジャイルコーチという職業も東京という多様な環境においてのみ通用する部分最適化された職業だったということに気付かされます。

そうなってくると、

  1. 自分の仕事ができるよう文脈自体を変える
  2. 文脈は気にせずこれまでやってきたことを地道に行う
  3. 文脈に合わせて仕事を変える
  4. 新しく自分で仕事を作る
  5. 文脈に依存しない外部の仕事をする

という5種類の手段から選択する必要があるように思います。「文脈自体を変える」というのはなかなか個人のパワーでは困難ですが、不可能ではないと思いますし、(2)を続けていくと文脈自体も変わるのかもしれません。

当然、地方でもそのまま通用する職業もあります。私の回りではWebデザイナーという職業は東京から移住してきても、比較的松山でも仕事があり就職も可能なように思えます。逆に東京でバリバリ最先端のソフトウェア開発をしていた方は、松山で合う会社を探すのは難しい印象です。その場合は(5)の選択肢をとるケースが私の周りでは増えています。住むのは松山だけど、仕事は東京の仕事をするというパターンです。

移住前に今自分のやってる仕事・職業は移住先にあるのだろうか?ないならどういう形で生計を立てていこうか?を考えるために、ネットだけでなく実際に住んでいる人に聞いてみるのはよいと思います。

いずれにせよ、単に希望の会社を探す、というだけでなく、色々な選択肢の中から、自分が本当にやりたいこと・大事にしたいことを元に仕事を選ぶのがよい気がします。

(3) 読書の時間が減った

会社への通勤時間が不要・移動は自転車がメインになったため、読書時間がガクッと減りました。

東京に住んでいた頃は通勤時間が私の読書時間でした。そのため常に数冊の本を持ち歩いていつでも電車の中で読めるようにしていました。満員電車はさすがに読めませんが、それ以外は読書する・PCを開いている・寝ている、が通勤時間の使い方です。

しかし松山に来てからは、そういった機会が減りました。出張の時には当然数冊の本は持参しますが(最近だとKindle上の電子書籍も多いです)、普段自宅で作業したり、自転車で市内を移動する場合には本は読めません。そのため、かなり読書量が落ちてしまいました。

本を持参していても、PCを持っているときには、ついついPCを開いてそちらで作業をしてしまうことが多いです。そのため、最近ではカフェに本だけ持って訪れてコーヒーを飲みながら本を読む読書のための時間を設けるようにしています。

これも見方を変えると、移動しながら読書ではなく、純粋に読書のための時間を作れたと考えると、むしろ幸せなことなのかもしれません。

私は対象外ですが車で通勤している人も同様の問題を抱えていそうな感じはします。

(4) お気に入りの店がない

私の場合、2010年当時は、東急ハンズ、パタゴニア、ビックカメラやヨドバシカメラといった家電量販店など東京に住んでいる時によく行っていたお店が軒並み松山にありませんでした。そのため、出張で東京・広島・大阪などに行った時に、近くにある支店を訪れていましたが、出張の機会が減るとなかなかお店にいけません。

希望のモノを扱っている店が松山にある場合もあります。しかし東京のお店は大規模店舗が多く、品定めも含めて商品を見つける体験は地方の小規模店舗ではできません。品揃えもどうしても見劣りしてしまいます。

ただ東急ハンズが2015年に松山にオープンしました。場所も松山市駅の上、高島屋の中なのでかなり便利です。店舗スペースはやや狭いですが、狭いなりにも多くのモノを取り扱っているので思った上に面白い空間になっています。

東急ハンズ松山店

ここは、ヒントマーケット。お客様がヒントを見つけ、くらしを創りだし、私たちもお客様から明日のハンズのヒントをもらっていく。ハンズはあなたにとっての「ヒント・マーケット」です。

matsuyama.tokyu-hands.co.jp

東京にいる頃から大好きな本屋であるジュンク堂も移住当時から松山にあり、お世話になっています。

ただし、家電量販店については、コジマ電機が四国から撤退してしまい、エディオン、ケーズデンキ、ヤマダ電機が、パソコン専門店ではパソコン工房があるくらいです。

個人的に最も困るのは松山市中心部の大街道・銀天街付近に家電量販店が存在しないことです。このため、中心部でPC関係のアクセサリなどが欲しくても買うことができません。(以前は大街道入り口近辺にベスト電器があったそうですが、今では駐車場を経由してマンションになってしまいました。)

このような状況から、地方においては東京以上にネット通販を使うという選択肢が多いのではと推測しています。ただ、個人的には地元ローカルのお店の常連になって取り扱い商品を増やしてもらうというやり方がいいんじゃないか?という気もしています。地元のこだわりのセレクトショップが増えるといいなぁ。

(5) 興味のある情報を知る場・教えてくれる場がない

「最新の情報が集まる東京に比べて、どうしても地方は情報が遅れがち」と言われます。「今時ネットで世界中の情報を仕入れることができるし、本も買えるし、別に地域差なんでないんじゃね?」と考えられなくもないですが、情報が入手できない、というよりも、ある情報に興味を持ち集まる人の場がないというのが正解のように思えます。

興味を持つ人は地方にもいるのですが、似たような人が集まって更に情報を交換したり、切磋琢磨するという環境、ビジネスとしてやっていける環境というのが、人口密度的に作りづらいのかもしれません。結果として、興味のある分野のイベント・情報はネットで探しても見つけることができません。案外、ネットにはなくても口コミでは探すことができる場合もあるようです。

先日、ある身体操作の技術を教えてくれるスクールを愛媛で探そうとしましたが、そもそも四国にはそういった場や人がいないようでした。こういったケースはよくあります。

この場合どうするか?私自身もそうでしたが、ないなら、自分から始めるしかありません。「1人では難しい」と感じるなら、東京などで活発化している人たちと繋がり助けを借りてでも場を作ることが必要です。教えてくれる人がいないのなら、まず自分が東京に行ってでも教えてもらうしかありません。そして自分が教える立場になるしかありません。

言い方を変えると、「地方で興味のある情報・イベントがない」というのは、自分が情報発信の中心なる機会となります。すべての人がそれを望むわけではないですが、自分発信へと変化するきっかけになると考えると、むしろ地方の方が競合が少ない分魅力的かもしれません。

(6) コミュニティに人が集まらない&固定化しやすい

Agile459というITエンジニア向けの勉強会コミュニティを立ち上げた頃、イベントの大小関わらず、人が集まらないなぁという印象を持っていました。これは東京の状況がわかっていてつい比較してしまうから感じるという部分もあります。

そんな中でも続けていると、それなりに人が集まってきてくれます。しかし、しばらくすると、どうしてもメンバーが固定化してしまいます。閉じた内輪の集まりにしようという意図はなくても、集客・告知をSNSに限ってしまうと、なかなか新しい人が集まりにくいということもあるかもしれません。もちろん、人口密度的にそもそも興味のある人が少ないということもあるでしょう。

このあたりはビジネスの営業と一緒でまず知ってもらうということが必要なのですが、そこにどれだけのコストを費やすかは当人たちの目的・やる気次第な気がします。別に「自分たちだけ楽しければいい」のであれば、そこにコストをかけるのはあまり得策ではないでしょう。

コミュニティの目的、参加している人たちの動機によって、やり方は選ぶ必要があります。

(7) 地方から地方への移動が大変

松山に来てから、いわゆる出張が増えました。東京に行く場合には飛行機でいくことになりますし、大阪にはバスあるいは飛行機で行くことがほとんどです。しかし、愛媛県〜島根県のように公共交通機関でダイレクトに行けない場所が多数あることに初めて気が付きました。

松山に来てからお世話になっている島根県松江市には、バスやJRを乗り継いで6時間以上かけて訪問しています。これを飛行機を使って松山→大阪→松江と行こうとする場合には、時間は1時間ほど短縮されますが、値段は3倍に跳ね上がります。そのため、迷わず陸路を選んでいます。(もちろん、車でいけばもっと早く安くいけますが、自分の運転を信用していない&家でも車を使うので選択肢に含めていません) その結果、今では6時間くらいの移動なら苦にならずに行けるようになりました。

また、同じ四国内といえども、松山からはどこもそれなりの時間がかかります。

四国は思ったよりもずっと広かった

東京から移住してみてわかった事実のひとつが、四国は広いということでした。移動時間という切り口で見た時の四国の広さとは?

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東京からはどこに行くにも大抵の場所は飛行機や新幹線で便利に行くことができます(すべてではないですが)。同様に地方から東京への移動も飛行機・新幹線で素早く行くことができます。特に松山はLCC(Peach、JetStar)が就航しているので、大阪、東京であれば片道数千円で2時間で移動することも可能です。

それに対して、地方から別の地方に移動するためには、想像していたよりずっと時間もかかるしお金もかかります。物理的距離は近くても、時間とお金をモノサシにすると地方から地方への移動はとても遠く感じます。

(8) 商店街のふれあいがない

私が住んでいた上板橋では、駅から自宅までの間は商店街があり、毎日通っていました。上板橋の商店街はちょっと特殊で、商店街の中で八百屋・肉屋という個人商店と、コモディイイダのようなスーパーが共存していました。

我が家はよく商店街の八百屋さんやお肉屋さんを使っていたので、お店の人と馴染になったり、子供を連れて行くと飴玉をくれたり、焼き鳥屋のオヤジさんと顔見知りになって焼き鳥をおまけしてくれたり、娘とよく行くラーメン屋のおばちゃんと世間話をする、というような体験がとても印象に残っています。

松山に来た当時は、このような商店街の人たちとの交流がなくなってしまい、私以上に妻が残念がっていたのを思い出します。

商店街と言えば、大街道・銀天街といった中心部の商店街、道後のような観光地の商店街以外は、軒並み衰退の一歩を辿っていると聞きます。そんな中でも、萱町、柳井町の商店街は積極的にイベントをやっていたりするのを見かけます。見たことはないですが、三津浜の商店街も最近活性化に力を入れているようです。

「買い物はスーパーやショッピングモールがあれば十分」という考え方もあるでしょう。実際、我が家でも、普段はセブンスター・フジ・生協などの、帰り道あるいは近くにあるスーパーで買い物を済ませています。「食料品の買い物は自宅の近く・通勤経路で済ます」と考えると、実は商店街で買うのとあまり変わらないのかもしれません。

ただそれでも、商店街の店の人たちとのふれあいは、単なる商売を越えた体験だったのだろうなと思います。

ただし、お店の人との交流も含めた買い物体験は、必ずしも商店街がなければできないわけではなく、個人のやっている小規模店舗に通うことで同じような体験をすることもできることに気づきました。あまり「行きつけの店」のような場所がない自分にとってはこれも1つの発見です。

(9) イベント情報の提供や申し込みがネットでできない

これは未だに解決できていない困りごとです。松山市内で開催されるイベントは多数ありますが、ネットから申し込みできるものは思った以上に少ないです。ネットにそもそも情報がなくチラシでしか目にしないものもありますし、ネットにあるのはチラシのPDFだけ、申し込みは電話かFAXというケースがとても多く、特に県や市が主催するイベントではその傾向が顕著です。

イベントのターゲット層があまりスマートフォンやパソコンを使わない高齢者であれば仕方ないですが、広く参加を募っているイベントで電話&FAXオンリーという申し込みをやられてしまうと、正直げんなりします。

個人が主催するイベントでは、Facebookイベントでシェア&申し込みしているケースが増えてきました。これはこれでFacebookユーザに限定されてしまったり、集金が手間だったり、過去にどんなイベントに参加したかわかりづらかったりします。

このあたりは、こくちーずDoorkeeperイべレジのようなサービスをうまく使うかして、なんとか簡単に申し込み&集金&リマインドをしてくれると嬉しいなぁと考えています。

(10) 車を使う機会が増えた

正直あまり歓迎できなかったことの1つが、車を使う機会が増えたことでした。板橋に住んでいる頃は、車で電車ではいけない&面倒な場所に遠出をする時だけ、近くのトヨタレンタカーで車を借りて使っていたので、車を所持する必要がありませんでした。

しかし、松山に来てからは、周辺の素晴らしい自然環境(山・川・海)に行きたい、郊外のモールに買い物に行く、近くにレンタカーショップがないのを考えて、車を購入することにしました。

車はなんといっても車検・ガソリン代の維持費がかかるのと、事故(被害者・加害者・こすり・へこみ含む)対応がネックです。回りが細い道ばかりなので、慣れない当初は何度かぶつけたり、こすったりしてしまいました。今では、もうすっかり慣れてしまいましたが、引っ越してきた当初は車がある生活にどうも馴染めず、困るというか嫌でしたね。

また、特に地方在住の人たちの中には、近場に行くのも車に乗る人が一定数いて、運動不足になりがちです。私はできるだけ自転車でいける範囲は自転車で移動するか、歩くかするように心がけています。

それでも、松山は中心部までバスや電車でいけるのでまだ良いほうかもしれませんけどね。

松山市への移住レポート:中心部への移動手段編

東京から愛媛県松山市に移住してきた人間が中心部への移動手段についてまとめてみたら思いがけないことに気がついた。

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(番外) 東京に行くと疲れる

移住して5年がたち、生活の上ではすっかり松山に馴染んてきた自分がいます。

東京に出張に行くと、人混みをぬって駅を移動し、朝と夜の電車に乗り、ビルの立ち並ぶ街を歩いていきます。私も歩く速度は早い方ですが、皆早足で歩いていきます。なかには時間を気にして走っている人もいます。電車に乗るとほぼ全員がスマートフォンを見つめています。スマートフォンの本格的普及は私が松山に移住した後なので、この光景は私にとっては非日常でかなり異様な光景です。

自分がそこに住んでいた時にはすべてが当たり前の日常だったものが、今では非日常の空間に感じてしまいます。先日の東京出張の際には東京駅や永田町の回りを歩きましたが、人と建物に囲まれた環境はどうにも落ち着きません。

東京に比べるとゆったりした時間が流れる松山に慣れてしまったのか、東京に滞在中は疲労感が残るようになりました。逆に、久しぶりに東京の友人・知人と会って話したり、イベントに参加していると、テンションはとても上がります。ただ、そのテンション高い状態が日常ずっと続く必要があるかないかはその人次第な気がします。

きっと、再び東京に住むような事になれば、それはそれでうまくやって快適になるように暮らせるのだと思いますけどね。

まとめ

ざっと松山に来て困ったことを書いてみましたが、まぁそうは言っても、大体は慣れてしまったり、今ではなんとかなってることが多数です。結局は、大抵のほとんどのことは現実に対しての物の見方・捉え方次第で、よくも悪くも変わってしまうのだと思います。

もちろん、自分のどうにもならないこともありますが、文句ばかり言っても仕方ないので、自分のできることから少しづつ始めたり、別のやり方を探したり、同じような仲間を見つけたりするのが、前向きだし楽しいです。

また、色々な人に会うことで、自分では考えつかなかい解決策を知っていたりしますので、いずれにせよ様々な人と会うのがよいと思います。

結局のところ、どこに住んでも大小の不満は尽きません。大事なのはそこでどう楽しく・幸せに暮らすか、ということに自分なりに積極的に取り組むか、ではないかと考えます。外部に答えを求めてもきりがないです。住めば都っていいますしね。

次回は「松山がこんなだったいいなぁ」という私なりのビジョンというか妄想を書きなぐってみたいと思います。

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