松山市への移住レポート:中心部への移動手段編


動機

2010年に東京都板橋区から、愛媛県松山市に越してきて、今年の1月で5年目を迎えました。

すっかりこっちの生活にも慣れてきたのですが、記憶があって言語化できるうちに、移住のインプレッションを書き留めておこうと思いました。

また、松山市は観光資源で有名なイメージがありますが、観光とは別に実際に住んでいる中で気づいた松山の魅力を伝えるという目的も含めています。

文脈:松山市とは?

最初に私が住んでいる松山市について簡単に説明してみます。

松山市は愛媛県の県庁所在地で、道後温泉や松山城の観光資源でよく知られています。

愛媛県

松山市

面積は429.37平方キロで、横浜市の面積(437.4平方キロ)とほぼ同等、東京23区の合計621平方キロよりもやや小さいくらいの広さです。そこに住む人口は約51.6万人で、同程度の広さの横浜の人口(371.8万人)の1/7になります。

また、山手線を市内中心部に重ねると、ちょうど山手線沿線の面積(65平方キロ)にすっぽり収まってしまうくらいの広さです。

松山市と山手線

松山は四国圏内では最大の都市で、香川県高松市、高知県高知市と共に、日本の中核市(20万以上)の指定を受けています。

お城下が栄える

松山城の周辺には各銀行、市役所、県庁、NTT四国、伊予鉄道本社などがあります。城の南側には大街道、銀天街といった大型アーケード、繁華街、百貨店が集中する商業エリアとなっており、特に伊予鉄松山市駅は、松山市の公共交通機関のハブとなっています。企業のオフィスもこの周辺に集中しており、多くの人が市内中心部に向けて通勤や買い物に訪れます。

観光地で有名な道後エリアは城東に位置しています。中心部からやや離れてはいますが、坊っちゃん列車を始めとする市内電車、バスがあるので移動に苦労することはありません。

JRと市駅の違い!?

初めて県外から来た人が必ず迷うのがJR松山駅伊予鉄松山市駅の違いです。

空港から市内に向かうリムジンバスでは先にJR松山駅に到着しますが、実はここは城西に位置しホテルなどが立ち並ぶ中心部にはちょっと距離があります。地元民はJR松山駅をJR、伊予鉄松山市駅を市駅と呼びます。自分が降りる場所を間違えないように、バスの乗務員の方にJRか市駅かをしっかり確認してくださいね。

JR松山駅といよてつ松山市駅の違い

5km圏内に多くの人が住んでいる

松山市の最新の統計(平成27年6月1日)によると、松山市の人口51万7126人だそうです。

そのうち5km圏内に住んでいる人口をざっくり計算したところ約30万人でした。松山市の約60%の人口が5km圏内に集中しているということになります。

人口 松山市ホームページ

www.city.matsuyama.ehime.jp

松山の地区別地図

中心部への移動手段比較

私の自宅は城南エリアの石井地区にあります。(ちなみに石井地区は5万8千人で松山市で最も人口が多い地区になります。)そのため中心部に行く(「まちに行く」「市内にいく」とも言います)ためには、北上する必要があります。主にその手段について考察していきます。

自宅から大まかに中心部に向かうための交通手段は以下のようなものがあります。

  • バスで行く
  • 郊外電車で行く
  • 車で行く
  • 自転車で行く

更には、以下の2つの手段も加えて比較検討したいと思います。

  • 歩く
  • 走る

(残念ながら、原付きやオートバイは使っていませんので取り上げません。)

バスで行く

伊予鉄バス

松山市は市内の各所を伊予鉄道のバス網が張りめぐされています。本数も国道沿いは多く扱いやすいと感じます。

都バスなどとは異なり、均一料金ではなく距離に応じて料金は増えます。ICカード(い〜カード)を使っていれば小銭を気にすることなく利用することができます。

バスの利点は市内の広範囲なエリアを網羅していることです。本数もピーク時には10〜15分毎、それ以外は30分毎の頻度でバスが来ます。逆に欠点は渋滞による遅延がよく発生することです。特に雨の日には車通勤者が増えるためか、国道は混雑しがちで、特に城南エリアから市内に向かうには橋をわたらなければならず、そこで車が渋滞することが多いです。

郊外電車で行く

郊外電車

松山市には、JRとは別に伊予鉄道が運営している郊外電車が存在します。南東の東温市方面に向かう横河原線、南西の伊予市方面へ向かう郡中線、北西の松山観光港のある高浜に向かう高浜線の3本の郊外電車がそれぞれ市駅に向かっています。また松山城周辺と道後方面には市内電車(路面電車)が走っています。

伊予鉄路線

もしも沿線に住んでいる場合は、郊外電車を使って向かうのが一番手っ取り早いでしょう。

郊外電車の利点はなんといっても時間に正確だということです。電車の本数もピーク時には15分毎、それ以外でも20分毎には走っています。

欠点は、路線が限られるため、沿線に住んでいる場合以外では利用しにくいということでしょうか。例えば、私の場合には最寄り駅は徒歩20分程度の距離です。実際に使う場合には自転車で駅まで行くことになりますが、わざわざ駅まで電車で移動して乗るくらいなら、バスを使うか、後述する自転車でそのまま行ってしまいます。

また、雨が降ると途端に利用者が急増して満員電車になるのも困ります。普段自転車通勤の方が電車通勤になり混雑するようです。そのため電車に乗れずに1本遅れてしまう可能性が高まります。

私が東京に住んでいる頃は、通勤電車は主要な読書時間でした。松山市内の移動距離ではそれほど読書時間をとれないので、別に読書時間を確保する必要があるでしょう。

車で行く

それなりに多いのが、車で市内に向かうというケースです。特に電車やバスの沿線でない郊外に住んでいる方、砥部町、伊予市、松前町などの近隣にお住まいの方は、車での移動をする場合が多いようです。

市内まで車で行く場合には、駐車場がネックになります。お城下付近は道路が一方通行が多く、慣れないと思った場所に向かうことができない場合があります。また駐車場は比較的点在しているので、狙った所に止められないとぐるぐる探し回ることになります。

用事、場所、滞在時間をキーにして、料金、駐車サービス券の有無などから駐車場を選択することになります。中心部の比較的大型の駐車場としては、三越の裏にできたお城下パーキングや市役所北側の二番町駐車場などがあります。

長時間の駐車であれば、やや離れますがフジグラン、キスケの駐車場を利用している人が多いようです。(参考リンク)

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松山市内の駐車場について… 来週の土日に友人の家に泊まりに松山に行く事になりました。 予定としては、とりあえず松山市内まで車で行き、私の車は駐車場に置いといて、 そこからは友人の車での移動になります。 そこで質問なんですが、松山市内に広めでおすすめの駐車場てありますか?旦那も一緒に行く予定だったのですが、旦那が椎間板ヘルニアでお留守番になってしまい、私が運転して行かなきゃいけなくなってしまいました(...

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

雨の日には、普段自転車で向かう人が車に乗るためか、道路が渋滞しがちです。私も、雨の日の子供の幼稚園への送迎などに車を利用しますが、ピーク時にはそれなりに渋滞します。市内の駐車場問題は、郊外にある大型ショッピングモールへの流出問題にも関わってくるのですが、それはまた別の機会にでも。

ちなみに、松山市の中心部の交差点は一部がスクランブル交差点、それ以外は歩車分離式信号を採用しています。歩行者もドライバーも県外から越してきた人は面食らうことがあります。ドライバーからすると待ち時間が長いような気がして不満がでますが、これは歩行者の安全に配慮しているためです。

スクランブル交差点や歩車分離式信号機の利点は何ですか?香川県高松市から愛媛県松山市に引っ越した者です。松山市はスクランブル交差点や歩車分離式信号機が多いように...

スクランブル交差点や歩車分離式信号機の利点は何ですか?香川県高松市から愛媛県松山市に引っ越した者です。松山市はスクランブル交差点や歩車分離式信号機が多いように感じます。信号の待ち時間が長くて不満です。これらは何か良い点があるのですか?

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

自転車で行く

松山市の中心部は道後平野に面し、平坦な場所なので自転車の利用も多いです。特に通学時間帯、通勤時間帯は、道路の脇を列をなして走っていく学生、サラリーマンの姿をよく見かけます。(車に乗っているとちょっとドキドキします)

平成27年6月より自転車に関する道路交通法が改正されました。どうなることと思いましたが、未だにイヤホンして走ったり、携帯いじりならがら走る人がいたりして、それほど認知されていない気がします。

ちなみに、愛媛県は自転車の普及に力を入れており、しまなみ海道を初めとした環境の整備や啓蒙活動を行っています。

自宅から松山市駅までは約4kmで自転車で行くと20分かかるかかからないかの距離です。車通りを気をつけながら裏道なども使うことで比較的安心して移動でき、小回りの良さもあり主要移動手段として最も多く利用しています。

デメリットは中心部の駐輪問題です。歩道に公式な駐輪スペースがあることはほとんどありません。アーケードの大街道・銀天街については、自転車での乗り入れが禁止されており押して移動しなければなりません。また、店の前に駐輪できないため、離れた駐輪場に停めてから店に行かなければなりません。このあたりは、放置自転車の問題・安全面の問題などがあり難しいところです。市内での自転車の利用を推進するためにはもう少し改善してほしいところです。

また、雨の日はカッパ着用で通勤・通学する強者もいますが、殆どの人は車、バスなどを利用しているのではないでしょうか。

6/18追記

Tweetで@patrashさんから以下のようなTipsが公開されていました。

原付・単車で行く(6/18追記)

個人的には原付や単車は利用していないのですが、Facebook上で実際に利用されている方のコメントがあったので追記しておきます。

単車・原付も自転車と同じ印象です! 駐車できる場所がさらに限られてくるので、安く停められそうな場所をいくつか頭の中に入れておくと良いですね

「自転車のみ」とか「車はOKだけど、バイクNG」とかあって面倒だったりします>< 自分は三越の裏辺りの駐車場(何箇所かあります)が多いですね〜

原付はお城の向こう側に行くなど長距離の移動や川(天井川なのでUpDownが激しい)を渡るにはいいのですが、街中は一方通行も多く意外と不便ですね。(10年乗ってないけど)

原付は中途半端に制約があるようですね。自転車の方が便利な印象を持ちました。

歩いて行く

ここから、ぐっと趣味の部類に入ります。時間に余裕がある時や、呑み会のために中心部に出かける時には、歩いていくことがあります。私の場合はやや早足で4kmで大体40分くらいかかります。

「40分も歩く」と聞くと敬遠する人もいるかもしれません。しかしバスを待っている時間に少しづつ隣のバス停に向かって歩くことを繰り返していると、案外バスが来る前に目的地に到着できることもあるのです。

特に呑み会の後など、バスの間隔が長い時間帯の場合やバスが終わってしまっている場合はタクシーなどは使わずに歩いて帰ります。夜風で酔いも冷めて一挙両得です。

最近であればスマフォのゲームであるIngressを楽しみながら歩く人も増えています。私も一時期はIngressをしながら歩いて帰ったこともあります。

地方都市に住んでいる場合は、通勤に時間をかけないため、歩く時間を意識的に作らないといけません。余暇にウォーキングの習慣を作るのも良いですが、時間の余裕がある時に歩くという行為を移動手段として取り入れるのが最も効率的です。

歩いて移動することで、普段通っているいつもの道も違った風景として見ることができます。新しい店、新しい景色、などなど。そういったものを発見するために、歩くという行為を積極的に取り入れてみるのは経験上オススメします。

ちなみに、松山市は健康増進・コンパクトシティの利便性を活かすためにウォーキングを推進しており、中心部のウォーキングイベントなども行っています。案外ウォーキングは松山市ですでに流行していると言えるのかもしれません。

走って行く

これも完全に趣味の範疇ですが、特に涼しい・寒い時期などは、小走りで移動すると、身体も温まり脂肪も燃焼できるので一挙両得です。

走ると言っても、ランニングウェアを着て走るのではなく、普段着のまま、歩くのと同じあるいは少し早いくらいのペースで走ります。別名スロージョギングとも言います。

ポイントは会話できるくらいの速度以下で走ることです。苦しくなってしまってはいけません。本当に小走りで歩く速度と変わらないくらいの速度がお勧めです。

スロージョギングで移動すると、身体への負担(膝など)も少なくただ歩くよりもエネルギーを消費しての移動が可能になります。さすがに真夏は汗が大変ですが、寒い時期なら少し汗ばんでちょうどよい感じになります。

私も体重を減らしていた時期は、移動はほとんどスロージョギングで移動していたこともあります。

特に、呑み会の帰りなどのバスの本数が少ない時間帯では、バスを待つよりもスロージョキングの方が早く家に辿り着ける場合がほとんどでした。バスとのレース気分で走って帰るのも面白いかもしれません。

ちなみに、毎年2月に開催される愛媛マラソンは、全国でもトップクラスの評価を受けています。

愛媛マラソン

ehimemarathon.jp

松山市の移動手段まとめ

松山市は人口の60%を占める人が中心部の5km圏内に居住しており、そのエリアに住んでいると、電車、バス、車、自転車、更には徒歩やジョギングでの移動手段を使い分けることができます。もちろん、今回取り上げた5km圏外にお住まいの場合はまた違った状況になるでしょう。

この記事を書いてみて改めて気づいたことがあります。

東京近郊に住んでいると、電車が主要な移動手段であり、自転車好きな人以外は、その他の移動手段を考える余地がありませんでした。

しかし、松山市内中心部5km圏内に住んでいると、何で移動するかを、その時どきの状況・好みによって自由に選ぶことができるのです。改めて考えてみると、このことはとても魅力的です。

中心部からの距離が比較的近いコンパクトシティだからこその利点とも言えます。首都圏に住んでいるけど、通勤ラッシュにはこりごりという方は、松山に住んでみるといいかもしれませんよ。

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