sozo -- 目的を持たない情報交換会が何をもたらすか?


立ち話

この記事のきっかけ

先日、東京に出張に行った時に某社にお邪魔したのですが、その時に、何の気なしに松山で開催されているとある会合について話した内容が、ポジティブな反応を頂いたので、それをきっかけにまとめてみました。

創造的?想像的?な会合「sozo」

先日の松山市のコワーキングスペース事情をふりかえってみた(2015年度版)という記事にも書いた、2014年8月に閉鎖されたコワーキングスペースのシトラススペースカンパニーで始まり、コワーキングスペースが閉鎖された後でも続いているミーティングのやり方をご紹介します。

松山市のコワーキングスペース事情をふりかえってみた(2015年度版)

2015年7月に新しいコワーキングスペースが松山にオープンされたのをきっかけとして、2012年から始まった松山のコワーキングスペース事情をふりかえってみた。

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といっても、内容はとてもシンプルで

一定の期間毎に仲間が集まり、各自が直近で気になっているニュース・出来事をシェアしあうだけです。

元々は、シトラスの常連の間で「定期的に井戸端会議をしたい」という要望がオーナーの清水さんからあり、二週間毎にシトラスで開催されていたものです。参加は自由、目的は情報交換のみ。何かを決めるということもなし(次回の日程・場所のみ)。sozoの命名者はオーナーの清水さんだった気がします。

名前のsozoとは、もちろんcreativeの創造から来ていますが、想像(imagination)からも来ています。fbのシークレットグループの説明にはこう書いてありました。

情報交換だけを目的にした集まりを定期的に行っています。 話題は何でもOK。出席も自由です。 メンバーの創造や想像(→sozo)が広がるような集まりになればいいですね!

コンセプトとしては、タバコ部屋コミュニティに近いです。最近は喫煙者が減ったかもしれませんが、「タバコ部屋で一服中の情報交換でいろいろ有益な情報が得られる」というパターンがあります。組織パターンで言うところの立ち話(HALLWAY CHATTER)です。

ただの情報交換会!?

こう書くと「ただの情報交換会ではないか」とのツッコミがあるかもしれません。まったくその通りかもしれません。

sozoでは、こんな感じで行っています。

  • 各自順番に最近気になっていること・ニュース・興味をもっていることを話す
  • ファシリテーターがホワイトボードに書き留める
  • 順番に全員話す
  • ホワイトボードの写真を撮影する
  • 次回の日程を確認する
  • fbグループに写真をアップする

一応、全員が順番に話す機会を持ちます。まったく自由な発言、特定の人だけの話ではありません。

sozoではどんな話題をしても構いません。そもそも集まっている人が多様なので、特定の話題にフォーカスするのがもったいないと思えてしまうくらいです。もちろん、時期によって話題の流行などもあります。

例えば、ある時期は山登りの話題をする人が多かったり、ウォーキングにはまってる人がいればその話題に皆が乗ったりします。便利なWebサービスがあればそれを紹介する人もいるし、会社の決算処理で大変だった人はその苦労話やそこで気づいたことを話します。

もし、ネタがあまりなければ「ネタがありません」でパスしても構いません。その場合はその人の近況でも軽く話してもらえればよいでしょう。

ただし時間は2時間と決まっています。時間内に全員に発言機会が回るように最低ラインの進行は必要です。

特に明文化はされていませんが、気をつけていることがあるとすれば、話をよく聞く話を否定しないということでしょうか。。。

目的から離れる

組織に属していると、業務上の目的・目標があります。ある目的の元に人が集まっていると「その話題は自分の業務には関係ない」とか「興味ない」という意見が出ることがあります。ある意味正論です。ただし「ムダを省き必要なことだけに最適化」してしまうと、残念なことに創造性が失われる…そんな経験はありませんか?

sozoでは情報交換以上の目的はもちません。誰かが話した内容が、他の誰かに役に立つとは限りません。でも、それでもいいのです。役に立たないと思ったり、興味がなかったら、次から参加しなければいいのです。

大事なのは、人が集まる多様な話題を交換しあう自分が知らないことを知る誰が何に興味を持っているかがわかる、というその場で起こる関わり合いです。

多様性

集まる人の多様性も重要です。今のsozoには、プログラマー、テクニカルライター、デザイナー、コンサルタント、映像エディター、などなどの人たちが集まります。どっちかというと何かを作る系の人が多いでしょうか?それでも以外の人が来ても問題ない雰囲気です。

ある人は、クレジットカードを使わないで決済する方法をいつも調べています。私からすると、まったく考えもしない世界の工夫を色々知ることができ、クレジットカードを当たり前のように使っている自分のライフスタイルを省みることができました。

ある人は、スマフォを使わない生活にシフトしようとしています。その工夫はスマフォに頼りがちな自分のライフスタイルにも影響を与え、iPhoneからFacebookのアプリを消すことにしました。

ある人は、統合医療の第一人者であるアンドリューワイル氏の書籍を紹介してくれました。それをきっかけに、統合医療の世界に目を向けるようになりました。

多様な人の興味・関心事が、自分に少しづつ影響を与えているのです。

そこから何かが創発される…かもしれないし、されないかもしれない

sozoはもう一年以上続いていますが、そこから色々なプロジェクトも生まれてきました。

例えば、私が四国のみちを走るというプロジェクトを立ち上げたのも、sozoで四国のみちという存在を知ったからでした。他にも、新しく別のプロジェクトがいくつか立ち上がろうともしています。

四国のみちを走って回るプロジェクトを始めた

先日、四国のみちを走って回るというプロジェクト「R459M」(Running the Shikoku no Michi)開始した。「四国のみち」とはなにか、動機、進め方の予定についてまとめてみる。

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でも結局、それらは結果に過ぎず、何かを生み出すためにsozoを行っているのではないのです。何が生まれるかはまったくわかりません。だからこそ思いもよらないことが起きるのです。

すぐにできるsozo

凄い情報、珍しい情報、皆の役に立つ情報なんて必要ないんです。今、みんなが興味のあることだけで十分なのです。誰も、いつでも、sozoすることができます。

きっと「自分も会社やコミュニティで同じようなことやってる」という方は沢山いると思います。ただ、私たちはこの集まりにsozoという名前をつけました。「井戸端会議」や「寄り合い」でもいいけど、ちょっとオシャレじゃないですか?w

まとめ

私の周辺で行われているsozoというミーティングを紹介しました。

もし「コミュニティで集まって定期的に何かしたいんだけどテーマが難しい」という悩みがあれば、sozoを開いてみてください。それぞれが興味を持ってることを共有するだけでいいんです。続けていれば案外何かが創発するかもしれませんよ。 ;-P

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