AgileJapan2014 徳島サテライト感想(2)


神山ツアーについて

徳島サテライトの本編終了後に、神山町のサテライトオフィスの見学を実施した。コワーキングスペースのダンクソフトさんのワークスペースや、プラットイーズさんのえんがわオフィスSansanさんのサテライトオフィスを見学させて頂いた。

ダンクソフトのワークスペース

ダンクソフト本橋さんの作業スペースは徹底してリモートで仕事しやすい環境に整えられていたという印象を持った。

目を引くのはチェーンソーと薪割り器。これは唯一の暖房器具である薪ストーブにくべる薪を作るためだそうだ。移住を支援しているNPO法人のグリーンバレーさんで講習会を開いてくれるので使い方を覚えるのも簡単そうだ。冷房はないそうだが、きっと窓を開けはなしての開放的な作業空間になるのだろう。

えんがわオフィス

続いて車で移動してのえんがわオフィスへ。まずオフィスの外装が「おっしゃれ〜」なのが印象的。中も古民家の梁を生かした作りになっていて素敵だ。若干、建物と比較して人が多い印象は持ったが窮屈というほどでもない。近くの演芸場にも案内してもらう。地域の交流の場がまだ残っているのは非常に価値がある。

Sansanサテライトオフィス

次にSansanさん(発音だと「さんさんさん」)のサテライトオフィスへ移動する。車で数分、一見普通の民家の佇まいだが、玄関を開けるとちゃんと会社のロゴが出迎えてくれるのですぐにわかる。

見学に行った時には、Danさんが唯一の駐在社員だったが、最近もう一人神山サテライトに加わったらしい。寂しくなくなってよかったですね。

このオフィスは母屋を中心に離や倉庫などもあり、今後もっといろいろな使い方が増えていくんではなかろうか、という可能性を感じるオフィスだった。(ハンモックには乗りました!) そういえば、オフィスに立派な中華ドラがあったのが謎だった。(社内LTをやるの?)

えんがわオフィスさんは建築家が設計した、ある意味完成されたイメージのオフィスだったが、Sansanさんのオフィスは、これから働く人が自らが欲しい機能を発見し、プロの手を借りながら自分たちで実現していく、セルフデザインのオフィスが実現できるのではないだろうか。

懇親会にて

懇親会は、えんがわオフィスの近くにあるカフェ オニヴァで行った。こちらも非常に雰囲気のいい店で、お酒もお料理もとても美味しかった。ここはキャッシュオンデリバリでビールを頼んだのだが、初めて飲むベルギービールだった。オーナーが以前輸入ビールを扱っていたらしい。

次の日に残るほど久しぶりに酒をのんでしまったので、覚えていることをつらつらと上げてみる。

神山で永和システムマネジメントの話題

偶然にも、SansanのDanさんは、私の東京の前職の同僚たち(@koic, @chibamem, @kenchan, @takkanm)と一緒に仕事をしていたそうだ。更には、自分が4月に東京で話した地方での話も聞きに来てくれていたらしい。遠く離れた徳島の地で、元同僚達の話題をしている非日常的な感覚が不思議でたまらなかった。世間って狭いな。

家賃1万円

本橋さんに伺ったのは、家賃が1万円ということだった。正確に言うと、3万円の家を3人でシェアしているから実質1万ということなのだが、神山では一軒家は高くても5万円の家賃で借りれるそう。(現在は空き屋待ち行列があるくらい人気だそうだ。)

彼が話していたのは家賃の差額で毎月iPadが購入できるというエピソードだった。家賃の話は私も先日調べたのだが、差額でiPadが買えるという喩えはとてもわかりやすい。以前調べた70-80平米のマンションの家賃は、吉祥寺(15.5万)と松山(6.8万)の差額は8.7万円だった。これが1万の家賃だと、14万の差額にもなる。

iPadどころか、MacBook Proが毎月買えてしまう…

いずれにせよ 家賃が(1万とはいわずとも)3万とか5万になったら暮しはどうなるだろう?を想像してみるのは面白いかもしれない。

神山以外にもあるサテライトオフィスの動き

徳島県では、神山町以外にもサテライトオフィスの誘致に動いているエリアがいくつかあるそうだ。Tokushima Working Styleによると、三好市(池田高校がある所)や、美波町もサテライトオフィスの実証実験がされているそうだ。

三好市は、四国の各県の県庁所在地に1.5時間以内で移動可能な利便性は、まさに四国のへそだ。美波町は太平洋に面していてサーフィンができるそうだ。パタゴニアのように「社員をサーフィンに行かせよう」がリアルに実現できる場所らしい。

徳島県は、全域にケーブルテレビを引いてあり光ネットワークを実現している。だからこそこのようなサテライトオフィスの誘致ができるという背景もあるのだが、単に「田舎で仕事する」というだけでなく、「どこで、どのような環境の中で、どんな生活をして、どのような作業環境で、どのような人たちと働きたいか」というより具体的なイメージがもてると、移住希望者にとって本当に魅力的かどうかがわかるのかもしれない。

各地域で人を呼びたいと考える場合は、地域の資源を生かして、どういう暮しができるか、どういう仕事の仕方が実現できるかの具体的なストーリーが必要だということに気づかされた。

ちなみに、神山ではワークインレジデンスといって、町に移住したい人を単に募集するのではなく、必要な職種、仕事を持つ人の条件を指定して町が移住者を募集するという形を取っている

町が求める人材が明確になっているということであるし、移住する人は仕事について明確なイメージを持つことができる。「くらし」と「しごと」を不可分で考えることができるよいシステムだと思う。神山町以外でもワークインレジデンスで募集している地域もあるようなので探してみるとおもしろいのではないか。

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