あの有名な「生きがいを見つけるためのベン図」はどこから来たのか?


今年の初め頃にSNSによく流れていたこんなベン図があった。

ぱっと見た時に気になって出自を調べていたら、instagramのHUSTLE & GRINDが起点だったのを見つけた。

この図は、LOVE(大好きなこと)、NEED(世界が必要としていること)、PAID FOR(稼げること)、GREAT AT(得意なこと)の重なりあいの中で、それぞれの意味があり、全てがかなさる所が人生の目的・生きがいである、ということを表現しており、共感したのを覚えている。

昨日、知人にこの画像を紹介したところ、出自を問われたのをきっかけに、そもそも、この図はどこから来たのかが気になって調べてみた。

2014/10 Quora

Quoraで、以下のようなエントリが上がっていた。

Does anyone find the purpose venn diagram (that which you are good at, that which you love, that which the world needs, and that which you can be paid for) useful? What are some stories on how so?

それに対しての回答で、以下の図があがっていた。この図はサークルの説明が若干異なるが意味合いは同じだ。

2014/06/10 A purpose equation to help you find meaningful work

2014/06/10に、Allison Jones氏のブログのエントリの中で同じ画像が使われていた。

記事の中で氏は

I recently came across an image on LinkedIn that I think combines important aspects of finding a job you’ll love: passion, mission, profession, and vocation.

と述べているので、直接の作者ではないようだ。

検索すると、2014/04/12のKevin Carroll氏のブログにも同様の画像が掲載されているが、この図がどこから来たのかは定かではない。

2014/04/30 Meet Anaïs

Facebook上でAnaïs Bock氏が公開した画像を、別の方がFacebook上でシェアした所、2万6千シェアを獲得していたようだ。この画像は、文言も内容も現在出回っている画像の元ではないかと思われる。

We'd like to profusely apologize for not making sure credit for this AMAZING graphic went where it was supposed to! ...

Posted by Shanti Uganda on Tuesday, September 23, 2014

ちなみに、その後の改訂版では以下のような図に刷新しているようだ。

もうひとつの系譜 ー Forshay 2014/06/10

2014/06/10付のWhat matters in doing your best workという記事に非常によく似た画像(DOING YOUR BEST WORK)が掲載されている。意味するところは大体同じだが、重なりあいの部分の言葉が若干異なる。

(追記:2015/12/24時点で記事も画像もロストしてしまったようだ…)

具体的には

  • LOVE & NEEDS が MISSION(使命)ではなく VOCATION(天職)
  • NEEDS & PAY FOR が VOCATION(天職)ではなく CHARITY(慈善)
  • すべての重なりあいの部分が、PURPOSE(生きがい)ではなく BLISS(至福)

2011/09/11 Reflecting on “What I do”

そして、たどり着くのは、Ask Ms. Dorothyに2011/09/11に公開されたReflecting on “What I do”というエントリにある画像だ。

この画像は、2011/08/22にAri Bancale氏がg+上で公開した三円の画像が元になっている。元々は、「What you love」、「What the world needs」、「What you are good at」だった。ここに「What the world will pay for」を足したのがDorothy版だ。

three circles

出自についてのまとめ

この流れから推測するに、Dorothy版の図を、誰かが言葉を置き換えて、現在のHUSTLE & GLIND版の形にしたのではないだろうか。

図の出自の流れ

これらのダイアグラムからわかること

これらの図、そこにマッピングされた言葉が適切かどうかはさておき、自分の仕事についてこのベン図上に当てはめて考えることはよいふりかえりになると思う。

端的に言ってしまえば、大好きなこと、得意なこと(自分視点)と必要とされること、対価が支払われること(相手視点)をいかに重ねていけるかが、生きがい(purpose)、至福(bliss)へ近づくことなのだろう。

ただ勘違いしてはいけないのはいきなりこの4つの重なりを実現しようと思っても難しいということだ。

Quoraで回答をしている Andrew R Coulson氏は次のようにコメントしている。

At my age, I can think of examples from my life of what each of the overlaps feels like. In particular, for 11 years I did a “that which you can be paid for” which didn’t even make the cut as a vocation i.m.o. Other people thought I was good at it, but I knew that I wasn’t. Then for 6 years I did a vocation. I quit that whole career path, and intentionally switched into the “love” circle. Phew. Spent 12 years in that little triangle to the right of the star, and for the last year or so, finally, I also get to focus on what I believe I’‘m really good at.

氏は11年間稼げる仕事をやってきたが、他の人は「うまくやれてる」と思えていた所を自分はそうでなないと気づいてしまい、その後6年間をVocation(稼げて、世間のニーズがある)の仕事を行ったそうだ。その後、すべてのキャリアパスを捨てて、意図的にLove(好きなこと)の領域に移った。12年経って右側の△、つまり「好きなこと」かつ「世間のニーズがあること」で「稼ぐ」ことができた。そして遂に、自分が「うまくやれてる」と自信を持てる状態が見えてきたそうだ。

この円をどうやって渡り歩き、重ねあわせていくかは、人それぞれだ。大事なのは、自分がどこにいて何を大事にしているかに気づくことや、円を重ねあわせようとする(あるいはしない)プロセス自体そのものなのかもしれない。

この図をみた上で、自分が納得した仕事ができているならば、まさにbliss(至福)の時を過ごすことができるのだろう。自分もblissを目指そう。

最後に、日本語版をHUTSLE & GLIND版を元に作ったのでここに置いておきます。

Purpose Venn Diagram Ja

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