生き物写真共有グループを一年運営して気づいた世界の魅力


カバー写真

Facebook上に「生き物写真共有グループ」を作った

昨年(2014/04/27)に、生き物好きな友人(@beakmark)を誘って「気兼ねなく生きもの写真をアップする会」というのをfb上に作ってみました。

動機としては「日頃撮りためている虫を中心とした生き物の写真は、人によって好き嫌いがあるため、SNS上のタイムラインに乗せるには気兼ねがあるが、生き物好きの友人の間では共有したい」というものでした。実際に、テントウムシですら不快に思う方もいらっしゃるのでSNS上に無闇矢鱈に公開するのは難しいところです。

最初は2人から初めて、今は52人。毎日、誰かが、身近で発見した生き物の写真をあげている。珍しい種類に驚いたり、いつのも常連にほっこりしたり、愛でたり、名前のわからない虫や鳥がいれば、皆で同定を助ける、そんなことをしています。

フタモンアシナガバチ

季節の流れと生き物たちの変遷

春には毛虫やチョウ、ガ、ハチたちが活動し、夏から秋にかけてトンボやバッタや甲虫たちが活発になります。時折、トカゲやヘビ、カエルや狸、魚やペットたちも顔を出し、冬は虫たちはお休みで代わりに鳥たちが主役となりタイムラインをにぎわせています。

たった一年ですが、そんな季節の流れと生き物たちの流れがわかってきた気がします。

ニホンカワトンボ オオルリ

身近にあるのに気づいていない世界

一年間運用してみて実感しているのは、普段の生活の中では、通り過ぎたり、遠くから眺めたりするだけの景色を、立ち止まってじっくりみてみることで、これまで気づかなかった世界の存在にどんどん気づくいていくということです。

なにかよくわからないが、小さな虫が息づいている。種類はわからないが、木々の間で鳥達がさえずっている。名前も知らない生き物達に、人が名付ける(名前を知る)ことで、その存在をはじめて認識する。このことを、ノンデザイナーズ・デザインブックの著者であるRobin Williams氏は「ヨシュア・ツリーの原則」と名づけました。人は名前をつける・知ることで存在を認識するのです。

以下の写真はシリアゲムシゾウムシ。昆虫にある程度詳しくないと、そもそも認識することもないだろう虫達です。しかし、一度名前を知って目にすると、実は結構な数が野山に存在することに初めて気づくのです。

自分は興味がなくても、誰かが興味のある種類がいると、自然と名前を覚えてくる。そうやって少しづつ世界は広がっていきます。

ヤマトシリアゲ

オジロアシナガゾウムシ

人気はチョウやトンボ

グループで人気なのは、美しくバリエーション豊かで目につきやすいチョウやトンボたち。チョウは幼虫の食草により生息域が変わり、トンボは幼虫(ヤゴ)の生息する水域が異なり、中には海を越えて飛んでくるものもあります。

メンバー中には、特に珍しいトンボやチョウの写真を撮影するために、わざわざ生息地に向かって撮影することもあるようです。

ショウジョウトンボ

アオスジアゲハ

見方が変われば、イメージも変わる

普段、なんとなく見ている気がする生き物も、被写体としてみると、また違ったイメージを持ちます。特に肉眼では小さくしか見えないものも、写真でアップにすると「こんなになっているのか」「こんなに美しいのか」という発見があるのです。

ナナホシテントウ

セイヨウミツバチ

そこにあるのに見えていない世界へようこそ

現在ではスマフォの普及によって撮影機材の持ち歩きが日常になりました。そんな中、ちょっと立ち止まるだけで被写体が至る所にいることに気づくだけで楽しみが広がります。

更には、接写に強いカメラ、一眼レフでマクロレンズ・望遠レンズなどを入手すると、同じ被写体でも、より大きく、より美しい写真を撮影することができます。今回グループからお借りした写真は、みなさんがスマフォからステップアップした機材で撮影されている写真ばかりです。

とはいえ、日頃からカメラを持ち歩くのも大変。まずはスマフォで撮影するところから始めるのがとっつきやすく楽しいでしょう。

ツチガエル

昨年「ジャポニカ学習帳から昆虫が消えた 教師ら「不快」→苦渋の決断」というニュースが話題になったように、生き物特に昆虫には風当たりが強い時代と感じます。

好き嫌いが大きく分かれる分野ですが、だからこそ普段からなんとなく生き物たちの存在に気づいている、野山に行く機会が多い、家庭菜園の世話でよく虫を見かける、そんな人は是非グループに参加して欲しいと思います。

きっとヨシュア・ツリーの原則に則って、これまで見えなかった新しい世界の存在に気づき、世界の広がりを楽しめるはずです。

参加はこちら→「気兼ねなく生きもの写真をアップする会

(本記事の写真達は、グループのメンバーの写真をお借りしました。快諾してくれた皆さまに感謝いたします。)

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