仙台でアジャイル型開発におけるプラクティス活用リファレンスガイドセミナー開催
3/19に、仙台にお呼ばれして、IPAのアジャイルプラクティスリファレンスガイドのセミナーをしてきました。私の担当分は、これまでのセミナーの時と変わらず、「なぜこのガイドができたのか?どう読めがよいか」のガイダンスです。
私の両親は岩手県一関市(大東町)出身で東北は私のルーツです。仙台は途中下車したことはなかったので初訪問となりました。
この「アジャイルプラクティスリファレンスガイド」のセミナーはこれで4回目(東京、福岡、愛媛、宮城)なのですが、毎回少しづつ内容を変えています。
今回は、これまで話していた「事例の話」をカットして、参加者の現場の課題を全員で考えヒントを持ち帰ってもらうという部分をゴールに実施しました。理由としては、特に地方における困り事は「(アジャイルを導入して)XXXがうまくいかない」という以前に「(アジャイルは導入していないが)XXXに困っている」というケースが多いことをこれまでのセミナーで実感しているからです。
これまでのセミナーの中でもダイアログとして参加者同士が話し合うという内容は取り入れていましたが、どうしても話に踏み込めないケースがでていました。今回はチャレンジとして「全員が全員の課題について考え、フィードバックを与えよう」というスタイルをとりました。この手法は、以前オブラブで行った @kompiroの Help Me のワークなどにも類似しています。
ワークショップ部分は @motohasi & @papanda のお2人が中心となって、パターンランゲージの手法を元に、問題を深掘り、HelpMe的に全員でフォースや対立を越えた解決策をフィードバックしあうという構成になりました。短時間でしたが、参加者全員が、何らかのフィードバックをもらって、自分事の課題についての考えを深めるヒントになっていれば嬉しいです。
最後に少し話をさせてもらったのですが、「自分たちの現場も、反復漸進的に進めて、顧客に早期に見てもらおう」と決意してプロセスを変えることは、それ自体は素晴しい前進です。しかしすぐに次の壁にぶちあたるはずです。
- プロダクトオーナーがスプリント毎にReadyのPBLが用意できない…
- 短期間では成果(動作可能なテスト済みのソフトウェア)を見せることができない…
- TDDで進めたいが、テストを書くスキルがなくてスピードが上がらない…
- TDDで進めているものの、CIでREDになったテストを修正しきれていない…
- 成果は出せても、真の顧客からのフィードバックがもらえない…
結局の所、何かを変えても、次の壁に必ずぶち当り、それらをひとつひとつ越えて行かなければ、本当に目指すべき所には辿りつけない です。価値あるソフトウェアを漸進的に作りあげていくように、チームも組織も少しづつ漸進的に改善して成長し続けることを選択しなければ、志し半ばで挫けてしまうでしょう。
今回のセミナーに来て頂いた方には、この場だけでなく、自分の現場に戻っても「自分たちは、どのような未来を作りたいのか?」、「次に越えるべき壁は何か?」という問いをチームで考え続け、そのための一歩一歩の改善を続けて頂きたいと願ってやみません。心が折れそうになったら、コミュニティのイベントでお互いに勇気を貰えばよいと思います。仙台はコミュニティも元気そうですしね。
震災以降、震災ボランティアで遠野や陸前高田に行ったきりの東北と関わりが持てたことをとても嬉しく思います。愛媛からは距離が離れており、伺う機会はなかなかないのですが、ルーツを東北に持つものとして、今回のような形でもお役に立てることができていたらとても幸せです。
お呼び頂いた、JASA東北支部、東北経済産業局の皆様、本当にありがとうございました。