DevLOVE 「システム思考を手に入れよう。」に向けて


明日、10/22に東京で開催される システム思考を手に入れよう。について思うところがあるので、少し書いておきます。

私がシステム思考、学習する組織、Theory Uなどに影響を受けて「センゲの会」なる謎の勉強会をはじめたのは4年前だったでしょうか、まだ東京に住んでいる頃の話です。

元々は、持続可能性に興味を持ちはじめた2007年頃からシステム思考に触れ始めて興味を持ちました。世界の複雑な問題は、近視眼的なアプローチではうまくいくどころか問題を引き起してしまいます(そもそも近視眼的アプローチは現代の共通的な課題です)。そこで、世界中でシステム思考をベースとしたアプローチで環境問題を始めとする様々な問題に対して取り組んでいる人たちがいることを知りました。(その1つがナチュラルステップです)

その後に、枝廣淳子さんのなぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?を読んで感銘を受け、システム思考入門の研修に参加をしました。 アジャイルが対象領域とするプロダクト開発やシステム開発も、開発対象、ビジネスなどの外部要因、加えて関わる組織が混在する複雑システムです。システム思考は実践的で具体的な方法論というよりも、自分達のシステムの理解と戦略を立てる前提となる有用なツールではないかと考えました。

ちょうど2007年頃から、海外のアジャイルカンファレンスにおいても、「Systems Thinking」をテーマにした発表がいくつか話題になってきており個人的に注目していました。(それまで私が気づかなかっただけなのかもしれません。ヨシュアツリーの法則ですね。)

Scaling Lean and Agile Developmentにおいては、Systems Thinkingが第一章として取り上げられており、ソフトウェア開発コンテキストの問題がループ図で描かれていました。著者のBas Vodde氏も「Lean Thinkingよりも前にSystems Thinkingを紹介しておく必要があった」と話していました。また、そもそもScrum自体が「ソフトウェア開発におけるビールゲームに対する解法である」と位置付けられていたことに気づいて、様々な点で腹に落ちたのもこの頃です。

センゲの会は、そんな背景もあり「ソフトウェア界隈の人もシステム思考について情報交換したい」との動機で始めましたが、「センゲの会」と言っておきながら、児玉公信さんをお呼びして「SSM(ソフトシステムズ方法論)」のレクチャーを受けてループ図との補完利用を学んだり、U理論邦訳前のサマリ読んでその意味する所をKJ法と比べてディスカッションしたり、ビールゲームを自分達でやってシステムのダイナミクスを体感したり、センゲに囚われない内容でした。そういえば「学習する組織」の書籍自体には触れてなかったですね。(その後、第二版が翻訳出版され、第一版では省略されていた部分が補足されベストセラーになっています)

私が愛媛に拠点を移し、センゲの会に参加してくれていた@quindimこと矢島さんも愛知に転居して、自然消滅しました。

そんなこんなで数年経ちましたが、今回、センゲの会を一緒にやっていた@papandaこと市谷さんから「システム思考の勉強会をDevLOVEで開きたいので講師を紹介してくれないか」との相談を持ち掛けられました。偶然にも、その数ヶ月前に私はチェンジエージェントさん主催のシナリオプランニングのセミナーに参加していたこともあって、講師の小田さんを@papandaに紹介しました。交渉の末に今回の開催に至ったということは嬉しい限りです。

「学習する組織」や「システム思考」はアジャイルの元となっている考え方というだけでなく、特にアジャイルな組織変革を目指す人達にとっては、学習する組織は、組織変革のベースとなる重要な考え方です。学習する組織の一部であるシステム思考は、複雑な世界に生きる現代人にとっての必須スキルと私は捉えています。

私は残念ながら参加することはできませんが、参加者の皆さんには、是非ともDevLOVEというエンジニアのコミュニティをきっかけにシステム思考に触れることで一層興味をもってもらいたいと思います。

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