Agile Japan 2013 四国・愛媛サテライト開催


2013/05/25にAgile Japan 2013 四国・愛媛サテライトを開催しました。

AMの本会場のUst中継は問題なく見れましたし内容も凄くよかった。前日のツィートで「フラジャイルジャパン」と流れていた理由がよくわかりましたw

僕はオープニングとアジャイル入門、そして午後のワークショップを担当していたのですが、いずれも時間をオーバーしてしまい申し訳なかったです。(本当に余裕がなかったです…)

オープニングにて

オープニングでは、最近個人的な関心事である地方におけるアジャイルのあり方について考えを話しました。地方においては、単に「開発をアジャイルに!」というのでは幸せになれないのではという問題提起です。理由としては、地方ではITの市場規模は限られているため、単に開発のやり方を変えるだけではインパクトが弱いこと、仮に今の受託の流れをアジャイルな契約にして実現しても、地場には仕事がなく、東京に仕事を探しにいかなければならないことが挙げられます。私の松山の知人も東京に長期出張に行っていたり、会社を変わってみたものの結局前の職場に常駐して仕事している、というような話を聞きます。

そもそも市場規模が小さい中で単に開発をアジャイルにするだけでは、地方へのインパクトはとても小さいし働く人にとってもそれほど嬉しさがないのではという仮説です。

地方においては、「開発をアジャイルに」というよりも「そもそものビジネスのあり方を変える」あるいは「新しいビジネスを作りだす」という方向に向かい、そのための手段としてアジャイル・スクラム・リーンスタートアップのような考え方や実践を取り入れていかないといけないと考えるに至っています。

東京近辺では「アジャイルやスクラムができない。現場も変えるのもパワーがいる。だからもっと自分の動きたいように動ける会社に転職する」という選択肢は多い気がしますが、地方においてその選択肢はとても限られると感じています。

現場を変えることも大事ですが、現場が立脚する組織、さらにはそのビジネス領域にまで解釈を広げていかないといけないと考えます。これは東京よりも地方は特にその重要性が高い気がしています。もちろん一個人ができることは限られます。なので地域ぐるみでビジョンを描いて行動していかなければいけないでしょう。その事例が北海道、島根県、福岡県で今行われているのではないかと思います。

また「地方」と一括りにするのも無理があります。個々の地域がそれぞれの文脈の元に行動しなければなりません。私も愛媛という地域でその真っ只中で行動していきます。そんな思いをオープニングで話しました。

ワークショップ 「アジャイル開発をデザインする」

ワークショップでは、「アジャイル開発をデザインする」というタイトルで内容を組みました。更に「パタンランゲージを使って」という制約を設けていましたが、パタンとはなんぞや、という話をする時間もなかったのでそこは省略してワークだけ進めました。

「アジャイル開発をデザインする」といっても、実は単純で、「自分達の文脈や問題にあったソリューション(=プラクティスや工夫)を適用していく」というものです。これはアジャイルのプロセスの中で、ふりかえりによって改善されていくものと同等です。今回のワークで実現したかったのは、プロジェクトがはじまる前から自分達の開発、つまり進め方をデザインするという試みです。

これがなぜ「パタン・ランゲージ」なのか? パタン・ランゲージとは、アレグザンダーの「A Pattern Language」が有名で、PLoP(Pattern Language of Programs)でも「過去の成功体験をパタン・ランゲージとして結晶化する」ことに重きが置かれているようにみえます。しかしパタン・ランゲージを用いたプロセスの本質的な重要性は、当事者参加によるボトムアップなビジョンづくりと、漸進的なデザインと構築にあると考えます。「こうしたい」という想いを、実際のかたちににするためのツールがパタン・ランゲージですが、そのランゲージを作りあげていくプロセスが重要なのです。このあたりの話はアレグザンダーの著作や、江渡さんのパターン、Wiki、XPに詳しいです。

僕のパタン・ランゲージの大師匠である中埜博さんのまちづくり演習では、最初に参加者に実現したいまちのイメージをクレヨンを使って絵で描いてもらいます。それら個々人のストーリーを混ぜ合わせて全員の大きなストーリーを紡ぎ出していきます。その後も個々人のストーリーが交わった実現したいプロジェクトを、できるだけ小さな単位で実施していきながら、漸進的に設計・構築・評価をしていきます。

今回のワークでは、個々人の持つプロジェクトの「こうなりたい想い」を3種類で表現してもらいました。こらはわかりやすく言えば「成功イメージ」であり「実現したい未来の姿」です。その成功イメージを実現するのを妨げる障害を洗い出し、解決策を考えていき、名前をつけた上で、それらを繋ぎ合わせてストーリーにしていくことでランゲージ化を試みるというワークを実施しました。このように、自分達の開発の進め方を最初にデザインして実施すること、継続的に評価しながらデザインし続けることをアジャイル開発のデザインと位置付けています。

ワークをやってみての感想としては、皆もっとゴールイメージを具体的にイメージして欲しいと感じました。「品質のよい製品」というような思考停止状態の漠然としたイメージではなく、「顧客になんと言って喜んでもらいたいか?」というような具体的なイメージを持ち、そのために「顧客の望んでいるものは何を実現したいものなのか」を徹底的に理解することが重要だと改めて実感しました。(もちろん、今回は仮想のプロジェクトがテーマだったので、そんなにリアルには考えることはできずにワークとしての設計ミスではあります)。時間は大変オーバーして皆様にご迷惑をお掛けしましてすみませんでした。

このワークも改善して、別の機会に実施できるようにしておきたいですね。

私以外のサテライトコンテンツ

今回、四国・愛媛サテライトでは、全コンテンツを独自で提供できた点がひっそりと嬉しいことでした。最初のサテライト開催では、東京から森田さんに助っ人にきてもらいました。昨年の開催では、岡山、広島からの発表がありました。今回はすべて愛媛にゆかりのある人たちの発表でした! 内容については @ogin_s57さんのブログに詳しいです。

アジャイル事例発表が2本、そして「アジャイルとよもだ」という以外な組合せのテーマをサテライト独自コンテンツとして提供できたことは、地方サテライトの主催者として大変嬉しいことでした。ここまでやってきてよかったと心底感激しました。

あ、時間切れで実施できなかったアジャイル俳句は別途リベンジを果たします!懇親会で試しにやってみたら面白かったです。

最後に、今回のサテライト開催に際しては、事前及び当日においてイヨテツケーターサービスの皆様に多大なる協力を頂きました。あらためまして感謝致します。

今回の四国・愛媛サテライトには、これまで参加されいない方も多数お越し頂いたため、新しい出会いが生まれました。今後のAgile459にワクワクしています!!

[関連する記事]