腰リールで始める携帯メモ生活
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- Takeshi Kakeda (@kkd)
- Created
- 2005/10/26
- Updated
- 2006/12/21
はじめに(2006-12-21)
2006-10-19に開催した 全日本腰リールカンファレンス の時の資料 が参考になります。こちらの記事と合わせてお読みください。
はじめに(2006-08-29)
この「腰リールで始める携帯メモ生活」を書いてから、もう10ヶ月経つ。この間にt-wada 1 さんが執筆した Life Hack Pressでの腰リールへの言及があった。このムックに紹介されてから、サイトへのアクセスも増え、いわゆるIT業界の知り合い以外の方も、この腰メモスタイルを初めたというエントリを見かけるようになってきた。
他方、自分はカフェバック+Moleskine+万年筆のスタイルで固まってしまい、ここ数ヶ月は腰リールを身につけないようになっていた。しかし最近、カフェバックの中身が肥大化してきたことで以前のような軽快さを失なってしまい、元々の「軽くていつでも身に付けられる」というコンセプトから若干外れてきていることを感じていた。そこで再度腰リールを復活させてみようという気持が湧いてきた。「軽快、いつでもメモ」に新たなコンセプトを加えて再度チャレンジしている。この模様については別途紹介したいと思う。
はじめに(2005-10-26)
最近、t-wada 2 さんも使いはじめた腰リール+単語帳+携帯ボールペン。他に有名な使い手としてはakiyahさん 3 かな? 以前から書く書くと思っていて結局このメソッドについて書いてなかったのだけど、t-wadaさんや、akiyahさんがいろいろ書いているので、便乗して(笑)今までの経緯から使い方まで書いてみようと思う。
腰リールとは
いきなり 腰リール と言われてもピンとこない人が多いと思うので腰リールについての解説をしておく。腰リールは元々は鍵などを取り付けておき、ベルトに装着しておきながら、鍵を取り外さずにロープを延して鍵を使えるようにしてある装置だ。元々はアメリカのKEY-BAK社が販売したのがはじまりだそうで、今では100円ショップにも、そのクローンが置いてあるほどである。大きさは大(直径4-5cm)と小(直径2-3cm)の二種類が一般的だ。大きいものは、それだけバネの力が強く、紐やチェーンも太いためより重い物を取り付けることができる。
体への取り付け方にもいくつかの種類がある。1つはベルトに留めるタイプで、これが一般的だろう。2つめはカラビナタイプで、こちらはベルトはもとより、バッグなどにも簡単に取り付けることができる。3つめはクリップタイプで、主に小型のタイプに多い。こちらも簡単に挟んで取り付けることができる。また最近では、重いものを吊してもロープが垂れないようにロック機構がついているタイプもある。KEY-BAK社からも出ているし、レイメイ藤井も小型のリールでロック機構をもつものをリリースする予定だ。
KEY-BAK社を始めとした大型のリールは、ホームセンターなどの鍵売り場に置いてあることが多い。一方、小型のものは鍵売り場にも見掛けるが、最近は文具売り場などでも見掛ける機会が増えた。まさか腰リールメモのせいではないだろうが(笑)
使い方
基本的な使い方
基本的な使い方は、なんのことはない次のような感じだ。
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腰リールの先にペンと単語帳を付けておく。
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腰リールをベルトにひっかける。左右はお好みだが、右効きならば左側がよいだろう
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気づきを得たら、おもむろに立ち止まり、単語帳を引っぱり、ペンを外して内容をメモする。
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メモを書いた後は、ペンをケースに付けて手を離す(自動的に腰に単語帳&ペンは戻る)
この方法だと、満員電車の中でふとメモを取りたいときでも簡単に取り出せる。ただし揺れている電車の中でメモを取るのはまた別のスキルが必要だ。あまり混雑している中でボールペンを取り出すのは迷惑なのでやめたほうがよいだろう。
動機
そもそも最初にこのメソッドを思いついたのは、携帯のメモ帳をさまざま試した中で、以下のような問題が発生したからだ。
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胸ポケ付きの衣類をあまり着ていなかった(当時)のでメモ帳を携帯する場所がない
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鞄の中だと、取り出す途中で思いついたことを忘れてしまう
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尻ポッケだと、汗でヘロヘロになってしまう & 財布は尻ポッケにいれているので邪魔
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筆記用具がすぐに取り出せない
一時期は、ダイゴーのメモ帳 4 の縦開きがNamazuの高林さんの日記で話題にされていたので、しばらく使っていた。なるほど確かに携帯に便利だし、鉛筆もついている。しかし使ううちに、普段の衣類に胸ポケがない(特に上着を着ない季節!)ことや、鉛筆がなくなってしまったり、尻ポケにメモ帳を入れているとヘロヘロになる、などの問題から使わなくなってしまった。また、鉛筆/シャープペンでは、筆圧の低い自分にはあまりに薄い字しか書けないため、イマイチだったという点もある。
またその代りとして、携帯電話やPDAのような電子機器も候補に上ったが、まずPDAは「壊れる可能性が高い」という点、携帯電話は「入力の手間がかかる」という二点で候補から外している。携帯電話に関しては、慣れている人なら入力にさほど時間はかからないのかもしれないが、自分は手書きで書いている最中でもフッと消えてしまうような淡いアイディア(というか気づき)が多いので、少しでも入力の手間は省きたいという要件が必須になっている。
その当時思い描いていた理想のメモ帳の条件は以下の通りだった。
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胸ポケがなくても携帯に困らない
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筆記用具(ボールペン)も同時に携帯できる
この2つを同時に満たすような手帳は市販ではなかなか見付からなかったのでほとほと困っていた…
導入
ペンポッド
メモ帳に悩んでいる間に、筆記用具についてはある程度糸口が掴めた。それは ゼブラの ペンポッド 5 を見つけたからだ。今でこそ携帯筆記用具は様々な数が出ているが、当時はペンポッドが市場に出回り始めた最初の携帯筆記具だった気がする。ペンポッドはキャップにリングがついており、ちょっと捻って本体を収めるため、普通に携帯していてもボールペン本体は落ちないようになっている。 6 また当時三色ボールペンに凝っていた事から、標準の黒インクの代りに、青と赤の2本用意して携帯するようになっていた。当時はカラビナをベルト穴に取り付けて、そこにペンポッドを装着していた。しかしこの時点でも、まだメモ帳の目処はたってはいなかった。
単語帳
その頃、隣りの席の amapyon 7 氏の机の上に、大き目の単語カードが置いてあるのがずっと気になっていた。 8 ある時ふとひらめいた。「あ、これをメモ帳にすればいいじゃん」早速、LOFTに行き単語帳を物色してみた。いくつか試した中で自分の中での単語帳選びのポイントは以下の3つ。
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バンドで留められる
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大きすぎず小さすぎないサイズ
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携帯に邪魔にならない厚み(=枚数)
まず1のバンドだが、なにかで単語帳の束を留めておかないと、すぐに紙が汚れてしまうし、書くときにも書きづらいといったデメリットがある。自分で輪ゴムなどを使って留めれるならいらないかもしれないが、単に留めておくだけだと抜けてしまう恐れがある。しかし本体に備えつけのバンドなら、落ちることもないのでやはり便利。次にサイズだが、いわゆる名刺大は個人的には腰に下げるには大きいと感じている。ただし本当の単語カードのサイズだと小さすぎる。最後の厚みだが、これは多めの100枚を買って、自分で調整することができる。適切な枚数はずばり 70枚 だ。
これら上記のポイントを押えた単語帳が1つだけあった。それは レイメイ藤井 9 の単語帳だ。正式な名前は知らないが、WD100という型名が記してある。ゴムバンド付き、適度なサイズ(45x80mm)、70枚というベスト枚数、とかなり理想に近い単語帳だ。実際にこの単語帳はまとめ買いをして、今までに何冊も消費した。 当時の日記 10 を見ると、「安いから失敗してもいいや」という思い切りが感じられる。
腰リール
実は腰リールに関しては、あまり詳しく覚えてはいない。確か、これも amapyon氏との会話の中で「こういうの使ったらいいかもね」という雑談の中で買ってみようと思った気がする。最初に選んだ腰リールはKEY-BAK社のものだ。自分の買ったのはチェーンではなくケブラーのタイプ 11 だ。腰リールはピンキリなので、最初は「安いのを」と思うかもしれないが、使用頻度が多ければ多いほど、リールへの負荷が高くなり、壊れる頻度が高い。キーバックの製品は若干高めだが、その耐久性とバネの強さは目を見張るものがある。100均のものは使ったことはないが、あまり重いものを付けるとチェーンが伸びきったままになってしまうようなら利用を止めたほうがよいだろう。
身近な人にはよくデモしてきたが、腰リールに単語帳とペンを付けて、手元に引き寄せてメモを書いた後に手を離すと、ちゃんと「シュシュッ」と元の位置に戻るのは楽しいものだ。
何を書いてる?
自分の場合は単純に「日付」と「気づきの内容」を書いている。基本的に裏面は使用しない。色分けは赤と青のボールペンを付属しているので、重要度が高いものは赤で書いたりすることもある。あまり厳密には決めていない。万年筆がある時はそちらで書くことが多い。
書いた内容については、単語帳が1冊が終わる毎に、手帳に書き写していた。もちろんその前に、別にアクションしたり、作業やるものもあるが、大抵はその時気づいた事なので、後で読みかえすと、その頃の思考を思い出すことができてなかなか楽しい。
気づき
腰メモを始めてから気づいたことを挙げておく。
アイディア/気づきは揮発性
気づきは揮発性である。故に脳から消えさるまでの時間を以下に短縮できるかがポイントだ。「鞄のどこにメモ帳あったかな?」と考えた時点で思いつき、気づきを失う確立が高くなってしまう。ペンを探している時間などがあれば、失なう確立は更に高くなる…これは致命的だ。「後でメモろう」などと思考した次の瞬間に消えさることなどはざらだ。
ひらめきの場は存在する
自分は歩きながら、あるいは立っている時にいい気づきを思いつくことが多い。多分人によってアイディアの創出場は違うはず。それを見つけて認識できるかが重要な気がする。自分の場合は風呂につかっていたり、シャワーを浴びている時も結構ひらめくので、耐水性メモ帳と油性マジックを脱衣所に置いていたりするが、それでも間に合わないことがある。それくらい揮発性が高いのだ(自分だけかもしれないな…)
注意する点
今まで1年以上使用してきて、注意すべき点を列挙する。
単語帳のリングオープン
単語帳を閉じているのはリングだが、これがなにかの拍子に空いてしまうことがある。空いてしまうと紙がバラバラになってしまうので致命的だ。対応策としては、より強力なリングを買ってきて交換する、またはリング型のワイヤーなどに変えて使用するのがよい。ただしワイヤーの場合は、交換時にワイヤーが直線になろうとする力が強く、扱いに若干苦労することがある。またリングのようにしっかり円にならないため、紙送りの時に苦労することも。
単語帳の紙がボロボロになる
先のレイメイ藤井の単語帳の弱点として、表紙が紙であるというものがある。紙の表紙は長い間使用していると、へたってきてしまい、中の用紙の端も反り返ってしまうことがある。これを防ぐためには表紙がビニールケースになっている単語帳を選択するとよい。ただしその場合には単語帳のサイズが変ってしまうという欠点がある。サイズが気にならないのならお勧め。
その他の単語帳では、ソフトビニールのケースなどのものがあるが、こちらならそれほど気にしなくてよいだろう。例えばKYOKUTOの単語帳がそれにあたる。
ペンが落ちてしまう
ペンポッドも何かの拍子にペンが回転してしまって、落ちてしまうことがある。これを防ぐやり方は思いついてはいないが、自分の場合は赤と青の日本を携帯しているので最悪どちらかは残るはずだ。しかし本体が落ちてしまったペンポッドはかなり情けない。最近、他の携帯筆記具なら大丈夫かもしれない。
見た目がよくない
私はあまり気にしないのだが、人によっては「格好悪い」と思うそうだ。ここはいっそAkiyahさんのようにかわいい単語帳にしてしまったりするのもありかもしれない。
最近の話
ここまで延々と書いてきたこのメソッドだが最近は以前ほどは活躍していない。なぜかと言うと次のような理由があるからだ。
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筆記用具を万年筆にした
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モールスキンポケットに書いている
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シザーケースを常備している
1の万年筆だが、筆圧の低さ(多分書道をやっていたから)から、万年筆の書き易さに惚れてしまい、日常のほとんどを万年筆で書くようになってしまった。そのためペンポッドでは書く気がしなくなってしまった。それでも緊急の時はペンポッドを使うが、余裕のある時には万年筆を使って書いている。2は、モールスキンを購入して、その書き易さとデザインに魅かれてしまい、メモのほとんとをモールスキン+万年筆に移行してしまった。3は、オブジェクト倶楽部のメルマガにも 書いた 12 AGILITYのシザーケース 13 を常備することになり、万年筆やモールスキンはそちらに常に入っている。(シザーケースとメモ帳の話はまた別途書こうと思っている。)
腰リールの携帯性と、落とす危険性がほぼないという安全性は、他のグッズではなかなか得ることができないので、共用できるし実際にやってもいる。 14
また単語帳についても、丸の内の丸善 15 で購入した合皮のケース付きの単語帳は紙質が他の単語帳とは比較にならないくらい素晴しく、ケースはボタンで留めるタイプなので中の紙片がバラバラになったりもせず使い勝手がよい。大きさがピッタリなものがないのがたまに傷だが、こちらも現在試用中だ。特に大きい方はTODO管理に便利な罫線付きだ。
最後に
この腰リール+単語帳+携帯ペンという組合せは、揮発性アイディアのストックとしての利用用途としては、見た目はともかくとして便利であるのは間違いない。ただ今流行り(?)のGTD的なTODO管理には使ってみたことはないので、そちらは何とも言い難い。 16 最近はGTD的な使い方をしている人が多いらしいので、そちらはまた別のノウハウが蓄積されるだろうと思う。まだまだ携帯メモの探求は続きそうだ…
一時期は文房具メーカに売り込みにいこうと思ったけど結局やってないなぁ。商品化したいメーカーさんいません?(笑)