「ふりかえり」がなぜ「振り返り」ではなく「ふりかえり」か

はじめに

オブジェクト倶楽部のPF(Project Facilitatoin)の資料でお馴染の「ふりかえり」というワークショップ。実は「振り返り」という日本語(漢字仮名混り)があるにも関わらず、「ふりかえり」と平仮名にしているのは理由がある。という話がまことしやかに流れている。

天野さんに言わせると、自分(懸田)が「ふりかえり」がいいといったらしい。平鍋さんは「こだわりはない(heard from kdmsnr at RubyKaigi2007)」とも言っているらしい。真相は闇の中だが、確かに平仮名がいいと主張したかもしれない。

RubyKaigi2007(二日目)で昼飯を食べている時に、kdmsnrさんに聞かれたのであらためて書いてみよう。ついでに「回顧」から「ふりかえり」についても言及してみる。

「回顧」から「振り返り」へ

まず「反省会」ではなく「振り返り」という表現については 平鍋さんのblogにその理由が書かれている。

私は「反省会」(ちょっとネガティブな感じ)と訳さずに、「ふりかえり」と訳すことにしている。

「ふりかえり」が、従来の「反省会」や「問題分析会議」と違うのは、それが全員参加で、かつ、参加者の「感情」部分の働きかえるものであり、建設的だ、ということ。誰かを非難したり、問題を抽出することが目的ではない。メンバーが、次のステージへ向かうための勇気を得ることが目的だ。だから、 Norm が最初に書いているグランドルール、 「この会では、プロジェクトの全員が置かれた状況下でベストを尽くした、ということを疑ってはならない」 を設定し、その後で全員で回顧をする。

それまで「Retrospective」という単語は「回顧」や「レトロスペクティブ」と訳されていた。例えば2004年の PofEAA第二回では、ふりかえりではなくレトロスペクティブと読んでいるなぁ(そういえばこの時、みんなにFreeMindのハックの話やマインドマップの話をした記憶が)。 オブラブのADC2003のチュートリアルの説明では「回顧」という単語を使っている。これがいつ「振り返り」に変ったのか?ちょっと調べてみたけどよくわからない。この訳語を「振り返り」としたのは平鍋さんだったのかなぁと思う。

実は同じ文脈で「振り返り」という単語を反省会の変りに使ってた方がいた。ソフトバンクの 大木 豊成さんだ。大木さんはPMBOKのLesson Learnedのことを振り返りと読んでいるらしい。さっき知ったのだけど。

「振り返り」から「ふりかえり」へ

さて、本題の「ふりかえり」の謎に迫ろう。多分、PFをオブラブ内部でまとめている当時、ひらがなを主張したのだろう。それには、いくつかの理由があったと推測される。

その1 ひらがな思考術の影響

その当時買って読んでいた  ひらがな思考術の影響があるというもの。その頃から平仮名を意図的に使うようになりました。例えばTRICHORDは「とき」「こと」「ひと」ですね。

その2 「振り返り」という動詞との差別化

「ふりかえり」というと、単なる振り返りという名詞ではなく「プロジェクトの振り返りを行うセッション」という意味を持たせるために差別化したかったから。「振り返り」では一般的な名詞として使用しているのか、そうでないのかがわかりずらいと感じた。

その3 「振り返り」より、やわらかい印象をもたせるため

実はこれが本命だったりしたのかも。反省会>振り返り>ふりかえり、という順に固さが取れている気がしない?自分の考える「ふりかえり」は敷居の高いものではあってならないし、チーム全員が参加して正直に思いを出力できる場でなくてはならない。なので、やわらかさ重要と考えています。

まとめ

まとまってないですが、このようなところでしょうか。「何それ~」と多方面から言われそうですが、納得して頂けました?あれ、駄目?....

Comment by kakutani on Mon Jun 11 22:27:19 2007

RubyKaigiでは、確かに「僕はそんなにこだわり無いスよ」とFrypanは発現していました。

ふりかえりではなくレトロスペクティブと読んでいるなぁ

当時は、私が「ふりかえり」という言葉に「らーめん」みたいな違和感を感じていました(その3で挙げられているやつ)。かといって「回顧」は音がよくないし「反省会」じゃないし、ということでオリジナルをカタカナで呼んでました。

現在は、パターン名として「ふりかえり」は気にいってます。理由はその2が大きいです。その3の意味合いはいまでもあまり好きではありません :-)

Comment by hiranabe on Tue Jun 12 05:07:41 2007

確かに、ひらがな思考術の影響はあるかもしれない。 ぼくとしては、「振る」という動詞の感じにいまひとつぴんとこなかったのも あると思う。これは、wave なんだ。「ぶん」という感じ。だから、振り返り は、「ぶん」と後ろを見る。ふりかえりは、「じっと」見る感じ。

mixi のふりかえりコミュ、見返り美人の画像に象徴されるように、「前を向 き ながら後ろを見る」がふりかえり、なんだ。つまり、後ろを見るため(原 因や 犯人探し)に本質があるのではなく、前に進むために、「ふりかえ る」。この メタファについては、TPS関係のヤマモトさんや和田さんに一家言 あるように思う。

ところで、トヨタの秘密をといた、「Elegant Solution」には、 Retrospectiveは、トヨタ語で、「反省会」であり、本書の各章の末尾には練 習 問題、とか、まとめ、という意味で「HANSEI」とある。ぼくはこれにはあ まり 納得できていない。正座してしかられているイメージが付きまとうから だ。同 様に、「朝会(あさかい)」を「朝礼」とか「ちょうかい」と読むの にも違和感がある。

Comment by takeshi on Tue Jun 12 07:34:44 2007

>kakutaniさん そっか、パターン名だね、納得。

>hiranabeさん 「じっと」見る=「見つめる」のイメージですねぇ。前に進むためにふりかえるという点は同意です。